不動産売却の仲介手数料の相場は?医師が知っておくべき計算方法と節税・諸費用を徹底解説

不動産売却時にはさまざまな手数料がかかり、その中で最も高額なのが仲介手数料です。また、仲介手数料は物件の売買金額に応じて高くなるため、特に高額な不動産を売買する可能性の高い医師の方は注意が必要です。他にも印紙税や譲渡所得税など、さまざまな出費を伴うため、必ず売却前にこれらの金額を把握し、余裕を持って売却手続きを行いましょう。

この記事では、不動産売却の仲介手数料の相場や計算方法、その他の手数料について詳しく解説します。この記事を読むことで余裕を持った資金計画を立てることができるため、ぜひご一読ください。

目次

1. 不動産売却にはどんな費用がかかる?高所得な医師こそ把握すべき全体像

不動産売却における仲介手数料とは、所有する不動産を売却する際に仲介を依頼した不動産会社に対して支払う手数料のことです。

売主から売却の依頼を受けた不動産会社は、売主との間に媒介契約を締結し、スムーズに不動産を売却できるよう、下記のような媒介業務を行います。

  • 物件調査
  • 価格査定
  • 売買の相手方の探索
  • 売買の相手方との交渉
  • 売買契約の締結と書面の交付
  • 決済、引渡し等

不動産会社は仲介という形で売主の代わりに買主を探し、無事に売買契約が締結された際に売主は成功報酬として仲介手数料を支払う必要があります。

なお、売主と不動産会社の間で締結される媒介契約は下表のとおりです。

区分一般専属専任専任
共通の義務契約期間法律上の制限はなし(行政の指導上は3ヶ月以内)3ヶ月以内3ヶ月以内
売主側の義務同時に契約できる不動産会社の数制限なし1社のみ1社のみ
自身で買主を発見した場合制限なし、自己発見OK制限なし、自己発見OK自己発見NG(仮に自己発見できても依頼した不動産会社に媒介を依頼する必要あり)
不動産会社側の義務不動産流通機構(レインズ)への登録義務不動産会社の任意5日以内に登録7日以内に登録
状況報告の義務義務なし1週間に1回2週間に1回

【参考】「不動産取引の手引き」4 媒介(仲介)契約を締結するときは(2)|住宅政策本部

<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ|国土交通省

例えば一般媒介契約の場合、売主側は複数の不動産会社と同時に契約できますが、この段階で仲介手数料が生じるわけではなく、あくまで最終的に売買契約が成立した1社のみに支払います。

2. 仲介手数料の支払いはいつ?資金計画に影響する2回のタイミング

不動産売却時の一般的な流れは下記のとおりです。

  1. 仲介会社と媒介契約締結
  2. 買主の探索や交渉
  3. 買主との売買契約締結
  4. 住宅ローン契約締結
  5. 残金決済
  6. 物件の引渡し
  7. 登記手続き
  8. 引っ越し

仲介手数料は売買価格から計算されるため、売買価格が確定する売買契約締結時に半分、物件の引渡し時に残り半分を支払うことが一般的です。

しかし、支払いのタイミングに厳密なルールはないため、不動産会社によっては引渡し時に一括支払いを求められる可能性もあり、支払いが滞らないよう事前に必ず確認しておきましょう。

なお、仲介手数料の支払いは現金納付が一般的ですが、高額になる場合も少なくないため、振込やクレジットカード、スマートフォンアプリ決済など、多様な支払い方法を用意している不動産会社もあります。

3. 仲介手数料の相場と上限額の計算方法|速算式でシミュレーション

不動産売却における仲介手数料は法律で上限額が決められており、ほとんどの不動産会社はその上限額を適用しています。

後述しますが、仲介手数料は物件価格から計算され、高額な物件ほど支払う仲介手数料も高額となるため、注意が必要です。

特に医師の場合、比較的高額な不動産を所有・売却する方も多く、仲介手数料も高額となるため、事前に把握しておいた方が良いでしょう。

そこで、ここでは不動産売却における仲介手数料の計算方法や値引き交渉の可否について解説します。

仲介手数料の計算方法

仲介手数料の計算方法は、「宅地建物取引業法」という法律によって上限額が決められており、下表のとおりです。

売却価格(税抜)仲介手数料の上限
200万円以下売却価格(税抜)×5%+消費税
200万円超〜400万円以下売却価格(税抜)×4%+2万円+消費税
400万円超〜800万円以下売却価格(税抜)×3%+6万円+消費税

【参考】<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ|国土交通省

例えば、売却価格が1,000万円の場合、1,000万円×3%+6万円+消費税=39.6万円が支払う仲介手数料の上限となります。

売却価格に予想がついていれば誰でも簡単に計算できるため、事前に計算して把握しておくと良いでしょう。

仲介手数料の値引き交渉は可能?

上記の仲介手数料の計算式はあくまで上限額であり、売主が希望すれば値引き交渉は可能です。

しかし、下記のような理由から安易な値引き交渉は勧めません。

  • 多くの不動産会社は妥当な価格設定をしている
  • 不動産会社の人件費や出張費、物件の広告費なども含まれている

仲介手数料とはあくまで仲介業務を担ってくれた不動産会社に対する成功報酬であり、安易な値引きによって販売の優先順位を下げられたり、広告費が削減される可能性もあります。

なお、仲介手数料をどうしても払いたくないという方は、直接自身で個人の売主を探すか、不動産買取業者に直接買い取ってもらうことも選択肢ですが、さまざまなメリット・デメリットがあるため、慎重に検討すべきです。

4. 売却時の仲介手数料支払いにおける注意点

売却時の仲介手数料支払いにおいては、下記のような点に注意しましょう。

  • 直接取引・手付解除・債務不履行の場合でも支払う必要がある
  • ローン特約解除の場合は、支払う義務はない
  • 想定の仲介手数料より、高くなる可能性もある

直接取引・手付解除・債務不履行の場合でも支払う必要がある

直接取引とは、不動産会社の仲介業務の成果を利用した上で、直接買主と個人間で取引することです。

直接取引によって売買契約が締結された場合、不動産会社が契約の成約自体に直接関与していなかったとしても、仲介手数料を請求された場合は支払う必要があります。

次に手付解除とは、売買の際に買主側が売主側に支払った手付金を放棄することで、締結した売買契約を強制的に解除することです。

買主側の事情で解除する場合、支払った手付金はそのまま売主側に支払われ、売主側の事情で解除する場合、買主から支払われた手付金の倍額を買主に返還する必要があります。

仮に手付解除が生じた場合、売買契約はなかったことになりますが、一度結んだ売買契約に対するコストとして、不動産会社に仲介手数料を支払う必要があるため、注意が必要です。

また、売買契約締結後に買主が売主に代金を支払わない、もしくは売主が物件を引き渡さないなどの債務不履行が生じた場合も、一度結んだ売買契約に対するコストとして、不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。

ローン特約解除の場合は、支払う義務はない

一度売買契約を締結した場合、基本的には必ず仲介手数料の支払い義務が生じますが、ローン特約解除の場合は例外です。

何らかの理由で住宅ローン契約が締結できなかった場合、事前にローン特約に加入していれば、売買契約締結後であっても売買契約を無条件で解除できます。

一度は売買契約を結んでいますが、ローン特約解除の場合だけは売買契約がなかったものと見なされ、不動産会社はすでに受け取っている仲介手数料を返還する必要があるため、売主側も必ず返還の旨を伝えましょう。

想定の仲介手数料より、高くなる可能性もある

仲介手数料は物件価格によって計算されるため、基本的には誰でも簡単に計算できますが、下記のようなケースでは想定より高くなる可能性があるため、注意が必要です。

  • 特別にかかった広告費
  • 低廉な空き家等の売買に関わる報酬

特別にかかった広告費とは、テレビCMなどの高額な広告費や、遠方に暮らす購入希望者との交渉により生じた出張費などが当てはまります。

売主側からの要望で上記のような費用が発生した場合、事前に売主側に承諾を得ることで、不動産会社はこれらの費用を仲介手数料とは別途、請求可能です。

また、近年増加する空き家等の流通促進のため、低廉(安価)な空き家等の売買において、不動産会社は買主・売主双方から法律で定められた上限額の報酬を得ることができます。

物件価格報酬額上限
200万円以下11万円
200万円超〜400万円以下19.8万円
400万円超〜800万円以下33万円

【参考】空き家等に係る媒介報酬規制の見直し|国土交通省

なお、事前の媒介契約締結の時点で上記報酬について合意していることが支払いの条件となるため、合意していない場合は売主・買主側に支払いの義務は生じません。

5. 不動産売却におけるそのほかの手数料

不動産売却時には、仲介手数料以外にも下記のような手数料が発生します。

  • 売買契約書等の印紙税(収入印紙代)
  • 登録免許税
  • 住宅ローンを一括返済するための費用
  • 譲渡所得税・住民税・復興特別所得税

売買契約書等の印紙税(収入印紙代)

不動産売却時にかかる費用として、売買契約書等の印紙税(収入印紙代)が挙げられます。

不動産を売却する際には、不動産売買契約書などの書類を作成して所定金額の印紙を貼る必要があり、その税額は下表のとおりです。

※:令和9年3月31日までの間に作成される「不動産譲渡契約書」または「建設工事請負契約書」の印紙税においては軽減税率が適用

契約金額本則税率軽減税率
10万円超〜50万円以下400円200円
50万円超〜100万円以下1,000円500円
100万円超〜500万円以下2,000円1,000円
500万円超〜1,000万円以下10,000円5,000円
1,000万円超〜5,000万円以下20,000円10,000円
5,000万円超〜1億円以下60,000円30,000円
1億円超〜5億円以下100,000円60,000円
5億円超〜10億円以下200,000円160,000円
10億円超〜50億円以下400,000円320,000円
50億円超〜600,000円480,000円

【参考】不動産売買契約書の印紙税の軽減措置|国税庁

登録免許税

不動産売却時にかかる費用として、登録免許税も挙げられます。

登録免許税とは、不動産の所有権を売主から買主に移転する所有権移転登記や、住宅ローンを組んだ不動産の抵当権を外すための抵当権抹消にかかる費用のことです。

所有権移転登記費用は土地・建物それぞれ固定資産評価額の2%で計算されますが、令和8年3月31日までの間に登記を受ける場合は土地は1.5%、令和9年3月31日までの間に登記を受ける場合は建物は0.3%の軽減税率が適応されます。

なお、所有権移転登記費用は売主側ではなく、買主側が全額負担することが一般的であり、売却時に支払う可能性は低いです。

次に、抵当権とは、購入した土地や建物などの不動産に対して「万が一ローン返済ができなくなった際に、その家や土地を銀行が担保として取り上げますよ」と契約できる権利のことです。

不動産の売却時やローン完済時には抵当権を抹消する必要があり、不動産1個につきそれぞれ1,000円かかるため、土地と建物を合わせて2000円を法務局に支払う必要があります。

実際にはこれらの手続きは司法書士に依頼することが一般的であり、司法書士への報酬も含めて2〜5万円ほど必要となります。

住宅ローンを一括返済するための費用

不動産売却時に住宅ローンの残債がある場合、一括返済のための費用も必要です。住宅ローンを組んでいる金融機関によって一括返済に要する費用や返済方法は異なるため、必ず事前にホームページなどで確認しておくと良いでしょう。

譲渡所得税・住民税・復興特別所得税

不動産売却によって売却益が得られた場合、譲渡所得税・住民税・復興特別所得税などの各種税金も支払う必要があります。売却益とは不動産の売買によって得られた利益のことで、その際に課税対象となる譲渡所得は下記のように計算されます。

課税譲渡所得金額=収入金額−(取得費+譲渡費用)− 特別控除額

収入金額とは買主から受け取る金額、取得費とは土地建物の購入代金から減価償却費を差し引いた金額、譲渡費用とは売買に関わった仲介手数料や印紙税などです。

つまり、売却時に発生する仲介手数料や印紙税は最終的に経費として計上できるため、一時的には支払う必要がありますが、確定申告においては課税譲渡所得金額を引き下げ、節税効果が期待されます。

確定した課税譲渡所得金額に対して、譲渡所得税・住民税・復興特別所得税がそれぞれ発生し、その税率は下表のとおりです。

所有期間譲渡所得税住民税復興特別所得税合計税率
長期譲渡所得譲渡した年の1月1日に所有期間が5年超15%5%基準所得税額の2.1%(15%×2.1%=0.315%)20.315%
短期譲渡所得譲渡した年の1月1日に所有期間が5年以下30%9%基準所得税額の2.1%(30%×2.1%=0.63%)39.63%

【参考】譲渡所得|国税庁

土地や建物を売ったとき|国税庁

特に医師の場合、働いて得られる給与所得は一般的に高額ではあるものの、経費は計上できず、所得に生じる所得税率は33%(医師の平均給与所得1,267万円の場合)、復興特別所得税0.693%(所得税率33%×2.1%で算出)、住民税率10%であり、合計税率は43.693%に達します。

さらに、所得税は累進課税であるため、医師として年収を上げればあげるほど所得税率は上がってしまいます。(所得税率は最大で45%、住民税・復興特別所得税を含めると55.945%)


一方で、不動産の譲渡所得は長期保有すれば約20%であるため、医師としての年収を上げるよりも、不動産投資で売却益を狙う方が税率上は有利と言えるでしょう。

まとめ:不動産売却には余裕を持った資金計画を

この記事では、不動産売却時にかかる仲介手数料の相場や計算方法、そのほかの費用について紹介しました。不動産売却時の費用において、仲介手数料や印紙税は物件価格に比例して高くなるため、特に高額な物件を所有する医師の方は注意が必要です。一方で、給与所得の税率は累進課税であるため、支払う税金の重さに日々苦しむ医師も少なくないと思いますが、不動産売却における譲渡所得の税率は年収や所得に限らず平等です。

また、仲介手数料や印紙税は確定申告で経費にも算定できる点も考慮すれば、不動産投資は医師の資産形成において良い選択肢の1つと言えるでしょう。ただし、この記事で紹介したとおり、売却時には他にもさまざまな手数料がかかるため、必ず余裕を持った資金計画を立てておきましょう。

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