提案された投資用マンションは高い?医師が適正価格を判断する方法

不動産会社から投資用マンションを提案され、「医師なら融資を受けやすい」「節税にもなる」と説明を受けても、提示された価格が本当に妥当なのか判断するのは簡単ではありません。

大切なのは「いくら借りられるか」と「その物件にいくらの価値があるか」を分けて考えることです。

投資用マンションが割高かどうかは、周辺の成約価格や家賃相場から物件の価値を確認し、さらにローン返済後のキャッシュフロー、将来の売却、管理・契約条件まで含めて判断する必要があります。

この記事では、医師が投資用マンションを購入する前に確認しておきたいポイントを、具体的な手順に沿って解説します。

目次

1.投資用マンションの適正価格と「融資可能額」は別

投資用マンションを検討するときは、不動産会社から提示された「販売価格」、物件そのものの「市場価値」、金融機関から借りられる「融資可能額」を分けて考えることが重要です。

1-1.販売価格・市場価値・融資額はそれぞれ違う

販売価格は、あくまで売主が提示している価格です。その金額が、そのまま物件の市場価値を表しているとは限りません。

投資用マンションの価格が妥当かを判断するには、同じマンションや周辺の類似物件が実際にいくらで売買されているのかを確認するとともに、家賃収入から見た収益性も検証する必要があります。

つまり「市場ではいくらで取引されているか」と「その家賃から見て、いくらの収益価値があるか」という2つの視点から考えます。

一方、融資可能額は、購入者の収入や既存の借入、物件評価、金融機関の審査基準などによって決まります。したがって、3,500万円の融資を受けられるからといって、そのマンションに3,500万円の価値があるとは限りません。

1-2.医師こそ「借りられるから買う」を避ける

医師は、高年収や収入の安定性などが融資審査で有利に働く場合があります。ただし、審査基準は金融機関やローン商品、既存の借入、購入する物件などによって異なるため、「医師なら必ず融資を受けやすい」とは一概にいえません。

大切なのは「借りられる金額」と「買う価値のある価格」は別だと考えることです。

融資の承認を物件価格の妥当性の根拠にするのではなく、まず物件そのものの価値と収益性を確認しましょう。

2.提案された投資用マンションが割高かを調べる4ステップ

投資用マンションの価格が妥当かを判断するには、不動産会社から提示された金額だけを見るのではなく、実際の取引価格や家賃、物件が生み出す収益を順番に確認していく必要があります。

ここでは、仮に「3,500万円の投資用マンションを提案された」ケースを想定して、契約前に確認したい4つのステップを解説します。

STEP1 同じマンション・類似物件の成約価格を調べる

最初に確認したいのが、同じマンションや条件の近い物件が、実際にいくらで売買されているかです。実際の市場で成立している価格は「実勢価格」と呼ばれ、提案された販売価格が相場から大きく離れていないかを判断する手がかりになります。比較するときは、できるだけ対象物件に近い条件から探します。

優先順位としては、

  1. 同じマンションの別の部屋
  2. 同じ駅で、築年数・専有面積・間取りなどが近い物件
  3. 周辺エリアの類似する投資用マンション

の順に確認するとよいでしょう。

駅からの距離や築年数だけでなく、階数・方位・設備・管理状態・賃貸中か空室か・現在の賃料なども価格に影響します。特に、居住用として売買されるマンションと、入居者がいる投資用ワンルームでは条件が異なるため、単純に価格だけを比較しないことが大切です。

実際の取引価格を調べる際は、まず国土交通省の「不動産情報ライブラリ」を確認します。不動産の取引価格や、レインズ(REINS)に登録された成約価格を匿名化した情報を検索できます。

必要に応じて一般向けの「REINS Market Information」も利用し、不動産ポータルサイトの情報を補足的に確認します。ただし、ポータルサイトに掲載されているのは基本的に「現在いくらで売りたいか」という売出価格です。実際に売買が成立した成約価格とは区別して考えましょう。

たとえば3,500万円で提案されたマンションについて、同じ建物や近隣の類似物件が3,000万円前後で成約しているのであれば、「なぜ500万円の価格差があるのか」を確認する必要があります。

一方、成約価格には物件ごとの条件差があり、公開されているデータですべての取引を把握できるわけでもありません。そのため、1件の価格だけで判断せず、複数の成約事例から対象物件の実勢価格が、おおよそどの価格帯にあるのかを把握することが重要です。

STEP2 市場家賃から物件の純収益を確認する

次に確認するのが、「実際にいくらの家賃で貸せる物件なのか」です。

不動産会社の提案資料には「想定家賃」が記載されていることがありますが、その金額をそのまま前提にするのではなく、周辺の家賃相場と比較しましょう。

確認するときは、

  • 同じマンション
  • 同程度の専有面積・間取り
  • 築年数
  • 駅からの距離
  • 設備や室内条件

などが近い賃貸物件を探します。

たとえば、営業資料では月10万円の家賃を想定しているものの、類似物件の家賃相場が月9万円程度だったとします。

差額は月1万円ですが、年間では12万円です。

家賃収入が変われば、その物件が生み出す収益も変わります。つまり、想定家賃を高く見積もるほど、見かけ上は利回りや収益性が高くなり、販売価格も妥当に見えやすくなります。

そのため、物件価格を判断するときは「いくらで貸せると説明されたか」ではなく、市場で実際にどの程度の家賃が期待できるかを基準にすることが重要です。

さらに、収益性を判断する際には家賃収入だけではなく、空室による損失や維持管理費、管理費、修繕費、公租公課など、物件を保有・運営するために必要な費用も考慮します。これらを反映して、物件そのものが1年間にどの程度の純収益を生み出すのかを確認します。

ここで注意したいのが、この段階ではローン返済を差し引かないことです。

物件の収益力を測るための純収益と、その購入者がどのような条件でローンを組むかは別の問題だからです。ローン返済後に自分の手元にいくら残るのかは、STEP4で改めて確認します。

STEP3 純収益と還元利回りから収益価格を試算する

市場家賃と物件の純収益を確認したら、次は収益還元法を使って「この収益力なら、物件価格はいくら程度と考えられるか」を試算します。

不動産の価格を評価する考え方には、周辺の取引事例から見る方法や、土地・建物の価値を積み上げて考える「積算価格」、物件が生み出す収益から見る方法などがあります。本記事では、区分マンションの契約前チェックに直結しやすい成約価格と収益価格を中心に確認します。また、収益還元法のうち、1年間の純収益から価格を求める直接還元法では、基本的に次の考え方を用います。

収益価格 = 1年間の純収益 ÷ 還元利回り

年間の純収益を100万円と仮定すると、

  • 還元利回り4%の場合:2,500万円
  • 還元利回り5%の場合:2,000万円

となります。

この例からもわかるように、同じ純収益でも、採用する還元利回りによって算定される収益価格は大きく変わります。

そのため「収益還元法で計算すれば適正価格がわかる」と単純に考えることはできません。

重要なのは、なぜその還元利回りを採用したのかです。

還元利回りは、営業資料に記載されている表面利回りをそのまま使用するものではありません。類似する投資用不動産の市場データや、立地、築年数、将来の賃料変動など、対象物件のリスクとの整合性を考えて設定する必要があります。還元利回りの設定次第で結果を大きく変えられるため、数式だけを見るのではなく、その前提条件まで確認しましょう。

たとえば、3,500万円で提案された物件について、周辺の成約価格だけでなく、実際の市場家賃から求めた収益価格も大きく下回っているのであれば、「3,500万円という販売価格を何が支えているのか」を販売会社に確認する材料になります。

なお、不動産の収益評価には、将来の賃料や保有期間終了時の売却価格などを考慮するDCF法もあります。本記事では、契約前に価格を検討するための簡易的な方法として、直接還元法の考え方を紹介しています。

STEP4 ローン返済後のキャッシュフローをストレステストする

ここまでの3ステップでは、主に「そのマンション自体にどの程度の価値があるのか」を確認してきました。

最後に考えるのが、その物件を自分が購入した場合、実際にいくら手元に残るのかです。

キャッシュフローを考える際は、家賃収入から、

  • 管理費
  • 修繕積立金
  • 固定資産税
  • 賃貸管理費
  • 保険料
  • 空室による収入減
  • 設備交換・修繕などの費用
  • ローン返済

などを反映します。

ここで改めて整理すると、STEP3までで考えた「収益価格」と、ローン返済後の「キャッシュフロー」は別の指標です。

収益価格は、物件そのものの収益力から価値を考えるための数字です。

一方、キャッシュフローは、購入価格や融資条件まで含めて、自分がその物件を購入したときに実際にどの程度の資金が残るかを見る数字です。

また、不動産会社から提示された収支シミュレーションだけで判断せず、条件が悪化した場合も確認しておきましょう。

たとえば、

  • 家賃が下落した場合
  • 1〜2か月の空室が発生した場合
  • ローン金利が上昇した場合
  • 設備の交換が必要になった場合

などです。

現在の条件で毎月数千円の黒字が出ていても、家賃の下落や金利上昇によって簡単に赤字へ転じる可能性があります。反対に、一定のストレスをかけても収支を維持できるのであれば、投資としての余裕度を判断する材料になります。

このように、提案された3,500万円という価格を見るときは、「3,500万円で買えるか」だけではなく、成約価格・市場家賃・純収益・収益価格・購入後のキャッシュフローまで順番に確認することが重要です。

医師専門の節税アシスタントが
あなたをマンツーマンでサポートします!!

不動産投資の提案から、節税に関するすべてを完全無料で相談できます。
対面による面談のほか、オンラインによる面談も可能です。

  • 完全無料
  • 秘密厳守
  • オンライン面談可
LINEで無料相談してみる

3.新築ワンルームは「中古になったときの価格」を見る

新築ワンルームが中古マンションより高いからといって、必ずしも割高とは限りません。立地・設備・築年数・販売時の市況など、価格にはさまざまな要因が影響します。

投資用マンションとして重要なのは、購入価格と、中古として流通した場合の価格にどの程度の差があるかを確認することです。

たとえば、3,500万円で提案された新築ワンルームに対し、同じマンションや近隣の築浅中古マンションが2,800万円前後で成約していたとします。この場合、「700万円高いから買ってはいけない」と単純に判断するのではなく、なぜそれだけの価格差があるのかを確認します。

設備や物件条件に加えて、想定される家賃や収益性を踏まえても、その価格差を合理的に説明できるでしょうか。

新築時の販売価格だけを見るのではなく、購入後に自分が参加することになる中古マンション市場から逆算して価格を見ることで、高値づかみを避けるための判断材料になります。

4.価格以外に契約前に確認すべき管理・契約条件

成約価格や収益性から見て妥当な価格であっても、それだけで購入を決めるのは早計です。

マンションは購入後も、建物の維持管理や修繕、賃貸借契約などが収支に影響します。契約前には、販売価格だけでなく、将来どのような費用や条件変更が発生する可能性があるのかまで確認しておきましょう。

4-1.長期修繕計画と修繕積立金を確認する

区分マンションでは、建物の大規模修繕などに備えて修繕積立金を負担します。現在の金額だけではなく、将来の修繕に必要な資金が計画的に確保されているかを確認することが重要です。

具体的には、販売会社や管理会社に次の資料・情報を確認しましょう。

  • 長期修繕計画
  • 現在の修繕積立金残高
  • 今後の修繕積立金の値上げ予定
  • 一時金の徴収や管理組合の借入予定
  • 管理費・修繕積立金の滞納状況
  • 過去の大規模修繕の実施時期
  • 次回の大規模修繕予定

国土交通省のマンション管理に関する資料でも、長期修繕計画や修繕積立金、滞納状況、修繕履歴などは管理状態を判断する重要な確認項目とされています。

特に注意したいのが、修繕積立金が安いからといって、必ずしも有利とは限らないことです。

必要な修繕費に対して積立額が不足していれば、将来の値上げや一時金の徴収につながる可能性があります。購入時のキャッシュフローだけでなく、将来負担が増えた場合でも保有を続けられるか確認しておきましょう。

4-2.賃貸借契約・サブリースの条件を確認する

入居者がいる物件では、現在の賃貸借契約の内容も確認します。とくにサブリースが付いている場合は、「家賃保証があるから安心」と判断せず、契約条件まで確認することが大切です。

主な確認項目は、

  • 保証される賃料
  • 賃料の見直し・減額条件
  • 免責期間
  • 契約期間と解約条件
  • 修繕費などのオーナー負担
  • サブリース契約終了後の扱い

などです。

「家賃保証」と呼ばれていても、契約期間中ずっと同じ賃料が保証されるとは限りません。賃料の見直しや減額、解約、修繕費の負担などが生じる場合があります。

そのため、営業資料に記載された家賃やキャッシュフローだけを見るのではなく、その収支がどの契約条件を前提に成立しているのかまで確認することが重要です。

5.出口は売却価格だけでなく「売却時の手残り」まで試算する

投資用マンションは、購入時の収益だけでなく、将来どのように売却するかという「出口」まで考えておくことが重要です。

ただし、5年後、10年後の売却価格を正確に予測することはできません。築年数や周辺の不動産相場、家賃水準、物件の管理状態などによって価格は変動するためです。

そこで、将来の売却価格は一つの金額に決めつけず、複数のシナリオで試算します。たとえば、周辺の中古マンション相場や築年数による価格変化などを参考に、5年後・10年後の売却価格を想定してみましょう。

さらに確認したいのが、売却価格ではなく、売却後に手元にいくら残るかです。

考え方は次のとおりです。

想定売却価格 − 売却にかかる諸費用 − その時点のローン残債 = 売却時の手残り

たとえば、将来3,000万円で売却できたとしても、その時点でローン残債が2,800万円あり、さらに売却費用がかかれば、実際に残る金額は大きくありません。

ここで注意したいのは、ローン残債はマンションそのものの「売却価格」を決める要因ではないことです。残債は、売却したときに自分の手元へいくら残るかを左右する要因として分けて考えます。

購入時の価格や毎月のキャッシュフローだけでなく、出口まで含めて考えることで、その物件を長期的に保有する合理性を判断しやすくなります。

6.医師は物件だけでなく「将来の借入余力」も確認する

投資用マンションの価格や収益性に問題がなくても、医師の場合は今回の借入が将来の資金計画に与える影響まで確認しておきたいところです。

たとえば、

  • 数年以内にクリニックの開業を予定していないか
  • 自宅の購入を検討していないか
  • 今後も追加で不動産投資をする予定がないか
  • 今回の借入によって、将来の資金調達余力を圧迫しないか

といった点です。

不動産投資のために多額の借入をすると、その後の開業資金や住宅ローンなど、別の融資を受ける際に影響する可能性があります。

そのため、金融機関から提示された「借りられる最大額」をそのまま購入予算にするのではなく、今後の開業や自宅購入などの計画を踏まえても無理なく保有できる借入額かという視点で判断することが大切です。

医師にとって不動産投資は、物件単体の収益性だけで完結するものではありません。将来のキャリアや資金需要まで含めて考えたうえで、その物件を今購入する合理性があるかを判断しましょう。

7.投資用マンションの価格に関するよくある質問

利回りが高ければ割安なマンションですか?

利回りが高いだけで、割安な物件とは判断できません。

想定家賃が相場より高く設定されていたり、空室リスクや修繕費などが十分に反映されていなかったりすると、表面上の利回りが高く見えることがあります。

利回りの数字だけではなく、家賃相場や必要経費を確認し、物件が実際に生み出す純収益と販売価格のバランスを見ることが重要です。

新築ワンルームは必ず割高ですか?

新築ワンルームが必ず割高とは限りません。

重要なのは「新築だから高い」と判断するのではなく、同じマンションや周辺の築浅中古マンションの成約価格と比較することです。

価格差がある場合は、設備や立地、想定される家賃、収益性などを踏まえて、その差を合理的に説明できるか確認しましょう。

マンションは築35年で価値がなくなりますか?

築35年になったからといって、マンションの価値が一律にゼロになるわけではありません。

売却価格には、築年数だけでなく、立地や賃貸需要、建物の管理状態、修繕状況なども影響します。

そのため、購入時には「築何年まで価値があるか」だけを見るのではなく、将来も賃貸需要や中古市場での流通が期待できる物件かという視点で確認することが大切です。

8.まとめ|投資用マンションは「借りられる価格」ではなく「買う価値」で判断する

投資用マンションの価格が妥当かどうかは、不動産会社から提示された販売価格や「融資を受けられる」という事実だけでは判断できません。

まずは、類似物件の成約価格や家賃相場を確認し、純収益から収益価格を試算します。そのうえで、ローン返済後のキャッシュフロー、管理・契約条件、将来売却したときの手残りまで確認することが重要です。

医師の場合は、開業や自宅購入など将来の資金需要も踏まえ、「いくら借りられるか」ではなく「その価格で購入する合理性があるか」を基準に判断しましょう。

提案された物件が適正価格なのか自分だけでは判断しにくい場合は、契約前に販売会社とは利害関係のない専門家へ相談することも選択肢です。

医師専門の節税アシスタントが
あなたをマンツーマンでサポートします!!

不動産投資の提案から、節税に関するすべてを完全無料で相談できます。
対面による面談のほか、オンラインによる面談も可能です。

  • 完全無料
  • 秘密厳守
  • オンライン面談可
LINEで無料相談してみる

9.この記事を書いた人

佐藤 おさむ (診療放射線技師 / メディカルライター)

臨床歴20年の現役診療放射線技師。地域基幹病院や健診センターなど、多様な医療現場での勤務経験を持つ。 現在も臨床の第一線に立ち続けながら、医療分野に特化したライターとしても活動。現場を知る医療従事者ならではの視点を活かし、クリニックや企業サイトのコンテンツ制作、医師・医療機器開発者へのインタビュー記事執筆など、幅広く手がけている。

目次