「医師なら不動産投資で節税できる」は本当?契約前に知りたい注意点

「医師なら不動産投資で節税できる」

このような説明を受け、物件の紹介や収支シミュレーションまで見せられたものの、契約に本当に踏み切っていいのか迷ってはいませんか。

節税になるという話自体は、間違いではありません。ただし、仕組みを正しく理解しないまま契約すると、数年後に想定と違う結果に気づくケースが少なくありません。

この記事では、医師の不動産投資がなぜ節税になるのか、損益通算・減価償却から丁寧に解説します。

あわせて、営業担当者の説明のどこまでが事実で、どこにリスクが隠れているのかも整理しました。税金の仕組みから、よくある失敗、契約前のチェックポイントまで、順番に確認していきましょう。

目次

1. 医師の不動産投資が「節税になる」といわれる仕組み

1-1. 損益通算で給与所得と相殺する仕組み

不動産投資が節税につながるといわれる理由の一つに「損益通算」という制度があります。不動産投資で赤字が出た場合、赤字分を給与などの他の所得から差し引ける仕組みです。

例えば、給与所得が1,800万円ある医師が、不動産投資で200万円の赤字を出したとします。この場合、課税の対象になる所得は1,800万円から200万円を引いた1,600万円まで下がり、納めすぎていた所得税の一部が戻ってくることがあります。

ただし、不動産を買うときの借入金のうち、土地の購入にあてた部分の利息は、損益通算の対象にならないため注意しましょう。建物と土地を一括で購入するケースが多いため、実際にどこまで通算できるかは、契約前にしっかり確認しておくことが大切です。

1-2. 減価償却費で税務上の赤字をつくる仕組み

不動産投資の節税で中心的な役割を果たすのが「減価償却費」です。これは、建物の購入代金を一度に経費にするのではなく、何年かに分けて少しずつ経費として計上していく仕組みです。

建物には、法律で定められた「耐用年数」があります。木造なら22年、鉄骨造なら34年、鉄筋コンクリート造なら47年というように、構造ごとに年数が決まっており、年数に応じて毎年一定額を経費として計上します。

ここで大切なのは、実際にお金を払っていないのに経費にできる点です。ローンの返済とは別に、帳簿の上だけで経費が発生するため、家賃収入があっても所得としては赤字になることがあります。

なお、土地の部分は年月がたっても価値が減らないとされているため、減価償却の対象にはなりません。中古の建物を買った場合は、耐用年数が短く計算されることがあり、その分、短い期間で大きな経費を計上できるケースもあります。

1-3. 累進課税のもとで高年収の医師ほど節税効果が大きくなる理由

日本の所得税は、所得が多くなるほど税率が上がる「累進課税」という仕組みになっています。税率は5%から45%まで、7段階に分かれています。

課税される所得金額税率控除額
1,000円 から 1,949,000円まで5%0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円

引用元:国税庁「No.2260 所得税の税率」

課税所得が高い人ほど、同じ額の赤字を出したときに軽くなる税額も大きくなります。これが、年収の高い医師にとって不動産投資の節税が魅力的に映る理由です。

ここで一つ、誤解しやすい点があります。「年収」と「課税所得」は同じ金額ではありません。給与収入から給与所得控除や各種控除を差し引いた後の金額が、実際に税率をかける対象になります。年収1,800万円の人がそのまま所得税率40%になるわけではなく、控除を差し引いた後の課税所得で判定されます。

目安として、給与収入1,800万円程度の場合、100万円の赤字で戻ってくる税額はおおよそ40万円台です。この数字は年度や個人の控除状況によって変わるため、あくまで概算として受け止めてください。

1-4. 経費として計上できる主な項目

不動産投資では、家賃収入から差し引ける経費がいくつかあります。代表的なものは、減価償却費、借入金の利息、固定資産税や不動産取得税といった税金、管理会社への委託手数料、修繕費、そして税理士への報酬などです。

ここで区別しておきたいのは、「経費になること」と「損益通算できること」は別の話だという点です。借入金の利息は経費として計上できますが、そのうち土地を取得するためにあてた利息から生まれた赤字は、給与所得などと通算できません(1-1参照)。

また、よくある誤解として、ローンの返済額そのものを経費と考えてしまうケースがあります。実際に経費になるのは利息の部分だけで、元本の返済分は経費に含まれません。この違いを理解しておくと、シミュレーションを受け取ったときに、数字の中身を正しく読み取れるようになります。

2. なぜ医師は不動産投資を勧められやすいのか

2-1. 金融機関からの信用が高く、融資審査に通りやすい

不動産会社の説明でよく聞かれるのが「医師は信用が高いので、融資審査に通りやすい」という話です。実際、不動産投資向けのローンでは、借りる人の職業や年収、雇用の安定性が重視される傾向があるといわれています。

そのため、医師は他の職業に比べて、多額の借り入れをともなう不動産投資を提案されやすい立場にあります。フルローンや、諸費用まで含めて借りるオーバーローンの提案を受けることも珍しくありません。

ただし、この話に裏付けとなる公的な統計があるわけではなく、業界の中でよく語られている傾向という位置づけです。金融庁も、投資用不動産のローンについて、物件の価格が適正かどうか、提案されている仕組みにリスクがないかを、借りる側がきちんと確認する必要があると呼びかけています。

「通りやすい」という話だけを受け止めず、自分の返済能力や今後のライフプランに合っているかを、別途確認することが大切です。

2-2. 医師は住宅ローンでも優遇されるのか

「医師は住宅ローンの金利が優遇される」という話を耳にすることがあるかもしれませんが、事実ではありません。住宅ローン控除という税金の優遇制度は、職業に関係なく、住宅の床面積や所得などの一定の条件を満たせば誰でも利用できる制度です。医師だからという理由だけで、税制上の優遇が受けられるわけではありません。

一方で、医師向けに、保証料優遇や金利優遇プランを用意している金融機関もあります。これは、あくまで金融機関独自の商品としての取り組みであり、国の税制優遇とは異なります。

営業の場面で2つが混ざって説明されることがあるため、「税金の話」なのか「金融機関の商品の話」なのかを分けて聞くようにしましょう。

2-3. 本業が多忙でも取り組みやすいとされる理由

不動産投資は、株式投資などと比べて日々の値動きを追う必要がなく、管理会社に建物の管理や入居者対応を任せられる点が特徴です。そのため、勤務医のように本業が忙しい人でも取り組みやすいと説明されることが多くあります。

家賃の集金や、入居者からの問い合わせ対応、退去時の手続きなどは、管理委託契約を結ぶことで管理会社に任せられます。管理を委託する場合の手数料は、家賃の数パーセント程度が一つの目安とされていますが、全国一律で決まっている金額ではありません。

気をつけたいのは「手間がかからない」ことと「リスクがない」ことは、まったく別の話だという点です。国は、賃貸住宅の管理を扱う業者に対して、契約内容の説明や家賃の管理方法、定期的な報告を義務づけるルールを設けています。

これは、この分野で説明不足によるトラブルが起きやすいことの裏返しでもあります。管理を任せるからこそ、契約内容は自分自身で確認しておく必要があります。

2-4. 「生命保険代わり」「インフレに強い」など節税以外に強調されやすいメリット

不動産投資の説明では、節税以外にも「生命保険の代わりになる」「物価上昇に強い」といった話がよく登場します。この二つは、性質の異なる話として分けて理解しておくことをおすすめします。

「生命保険代わり」という話は、多くの不動産投資ローンに、契約者に万一のことがあった場合にローンの残りを保険でうめる仕組み(団体信用生命保険)がついていることに基づいています。契約者に何かあった場合、家族には借金のない不動産が残る、という考え方です。これはローンという商品の性質によるものであり、不動産投資そのものが持つ効果ではありません。

一方「物価上昇に強い」という話は、税金の制度で決まっている事実ではなく、考え方の1つです。実際にその効果が出るかどうかは、物件の立地や、家賃を上げられる余地、空室がどれくらい出るか、金利が上がったときにどうなるかによって大きく変わります。メリットとして紹介される話には、必ず裏側のリスクがあることを、あわせて確認してください。

3. 勤務医・開業医別|節税効果の具体的な活用法

3-1. 勤務医は確定申告で還付を受ける

勤務医の場合、給与から税金が天引きされる年末調整だけで納税が完了し、通常は確定申告をする必要がありません。ただし、給与年収が2,000万円を超える場合や、給与以外の所得が20万円を超える場合など、一部のケースでは申告そのものが義務になります。

不動産投資による赤字がある場合は、「申告義務があるかどうか」とは別の理由で確定申告を行うことになります。天引きされた税額が本来納めるべき税額より多いときに、その差額を取り戻す「還付申告」という手続きです。

勤務医が不動産所得の赤字を反映させて確定申告をするのは、義務というより払いすぎた税金を取り戻すための手続きだと理解しておくと、わかりやすくなります。

3-2. 開業医は医院経営の所得と損益通算する

開業医が個人事業主としてクリニックを経営している場合、医院の事業所得と、個人で所有する不動産の赤字を通算できます。勤務医と同じく、個人の所得税や住民税の軽減が可能です。

一方で、医療法人を設立して院長として役員報酬を受け取っている場合は、少し整理が必要になります。役員報酬は個人にとって給与所得にあたるため、個人所有の不動産の赤字と通算できるのは、あくまでその人自身の所得税・住民税です。

医療法人そのものが納める法人税は、法人の所得に対して課される別の税金であり、院長個人の不動産投資の赤字によって法人税が軽くなることはありません。この違いを混同したまま「法人税も節税できる」と説明されている場合は、注意が必要です。

3-3. 相続税対策として活用する場合の考え方

賃貸中の不動産は、現金でそのまま相続するより相続税の評価額が低くなりやすいという特徴があり、これまで相続対策としてよく使われてきました。建物の評価は、固定資産税評価額から借家権割合と賃貸割合を差し引いて計算する仕組みで、借家権割合が30%、部屋がすべて埋まっている状態であれば、評価額はおおむね7割程度まで下がります。

土地についても賃貸中であることによる評価の引き下げがありますが、下がり幅は土地の条件によって変わるため、「必ず2割下がる」といった一律のいい方は正確ではありません。

ここで押さえておきたいのが、財務省が公表した「令和8年度税制改正の大綱」では、貸付用不動産の相続税・贈与税評価を見直す方針が示されています。

具体的には、相続開始日や贈与による取得日などの課税時期前5年以内に、有償で取得または新築した一定の貸付用不動産について、原則として、課税時期における通常の取引価額に相当する金額で評価します。課税上の弊害がない場合には、取得価額を基に地価の変動などを反映して計算した価額の80%で評価できるとされています。

また、一定の不動産特定共同事業契約や信託受益権型の不動産小口化商品については、取得時期を問わず、事業者が示す適正な処分価格や買取価格などを参考に評価する方針です。

この見直しは、令和9年1月1日以後に相続、遺贈または贈与によって取得する財産から適用される予定です。通常の貸付用不動産では、購入・新築から相続開始または贈与までの期間が5年以内かどうかによって、評価方法が変わる可能性があります。一方、対象となる不動産小口化商品には5年という保有期間の条件がありません。

これから賃貸不動産を購入して相続対策を行う場合は、物件の収益性や借入条件だけでなく、新しい評価方法の対象となるかについても、今後公表される国税庁の通達を確認する必要があります。

参照:財務省「令和8年度税制改正の大綱」

3-4. 資産管理会社を設立する場合のメリットとデメリット

所得が一定の水準を超えると、個人で所有するより、資産管理会社という形の法人を設立して不動産を所有したほうが、税金の負担を抑えられる場合があります。

国税庁が示す法人税率は、所得800万円以下の部分が15%、それを超える部分が23.2%です。ただし、これに事業税や住民税、地方法人税を加えた実際の負担割合(実効税率)は、会社の規模や所得の水準、事務所を置く場所によって変わってきます。「法人税は個人より低い」という説明だけを鵜呑みにせず、実際の総合的な負担で比較する視点が求められます。

法人化のメリットとしては、経費として認められる範囲が広がること、家族への給与支給によって所得を分散できること、赤字を10年間繰り越せることなどが挙げられます。個人の青色申告でも赤字の繰り越しは可能ですが、期間は3年間にとどまります。

一方、デメリットとしては、勤務医の給与そのものを資産管理会社に入れることはできない点、設立や維持にコストがかかる点、個人名義の不動産を法人に移す際に登録免許税や不動産取得税が発生する点、そして会社の資金を個人の判断で自由に使えない点が挙げられます。

投資の経験が浅いうちは、まず個人での運用で仕組みを理解してから検討する順番のほうが無理がありません。

4. 医師の不動産投資でよくある失敗パターン

4-1. 知識不足のまま営業トークに乗ってしまう

長期的な収支の見通しや、家賃を見直すタイミング、将来の売却先まで確認しないまま契約を進めてしまうと、後になって想定と違う結果に気づくことがあります。金融庁や国土交通省、国民生活センターは、投資用不動産の勧誘について、事実と異なる説明や強引な勧誘が起きやすい分野として、繰り返し注意を呼びかけています。

営業担当者から示されるシミュレーションは、初年度など条件の良い時期だけを切り取ったものであることが少なくありません。減価償却が終わった後や、部屋が埋まらなかった場合の収支まで示されているかどうかを、その場で確認する姿勢が大切です。

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4-2. 節税効果を重視しすぎて収益性の低い物件を選んでしまう

節税という言葉に気を取られ、そもそも家賃収入だけで採算が取れるかどうかの検討が後回しになるケースが見られます。節税効果は、経費を計上することで生まれる一時的な税務上のメリットにすぎず、その物件に賃貸としての需要があるかどうかとは、まったく別の問題です。

減価償却を大きく取りやすいという理由だけで新築のワンルームマンションを選んだ結果、利回りの低さに後から気づく、という流れは典型的な失敗パターンです。節税額のシミュレーションを見せられたときほど、家賃相場や周辺の賃貸需要を自分でも調べる姿勢が求められます。

4-3. 将来の開業資金・与信枠を圧迫してしまう

数千万円規模のローンを組むと、その借入額は金融機関から見た自分の「総借入額」に加算されます。数年後にクリニックの開業を考えている場合、開業資金や設備投資のための融資審査で、希望する金額を借りられなくなる可能性があります。

金融機関は、個人の年収に対してどれだけの借り入れがあるかという返済負担率を重視して審査を行います。先に不動産投資のローンを組んだことで、本来使いたかった開業資金の枠が圧迫されるという事態は、実際によく起きています。

開業を視野に入れている段階であれば、不動産投資のタイミングを開業後に回す選択肢も含めて検討することをおすすめします。

4-4. 減価償却の減少後に税負担と手残りが逆行する「デッドクロス」

不動産投資では、税務上の利益と実際に手元へ残る資金が一致しないことがあります。その原因の一つが、一般に「デッドクロス」と呼ばれる状態です。

賃貸不動産を購入するために借りたローンは、利息部分であれば原則として必要経費にできますが、元本の返済部分は必要経費になりません。一方、減価償却費は、現金の支出を伴わずに必要経費として計上できます。

そのため、減価償却費が減少または終了し、年間のローン元本返済額が減価償却費を上回ると、税務上の不動産所得は増えているのに、実際の手残りは増えない、あるいは減少することがあります。

デッドクロスは減価償却が完全に終了した後だけに起こるものではありません。建物附属設備などの減価償却が先に終わった場合や、ローンの元本返済額が増えた場合には、それ以前に発生することもあります。

契約前には、年間の減価償却費とローン元本返済額を並べた長期収支表を作成し、両者が逆転する時期、その後の税引後キャッシュフローまで確認することが重要です。不動産会社の試算だけでなく、必要に応じて税理士にも確認しておくと、購入後の想定外の税負担を防ぎやすくなります。

4-5. 不動産投資をやめたほうがいい人の特徴

「こういう人は不動産投資に向かない」と一律に決めつけることは難しいものの、契約前に確認すべき項目を確認しないまま話を進めようとしている場合は、いったん立ち止まったほうが安全です。長期の収支の見通し、家賃を見直せる余地、売却のタイミング、金利が上がった場合の影響、空室が続いた場合の対応。これらを自分の言葉で説明できない状態のまま契約に進むことは、避けたほうが望ましいといえます。

数年以内に開業を考えている人や、住宅ローンや教育費の負担がすでに大きい人も、与信枠への影響を考えると、慎重な判断が必要な立場にあたります。

5. 契約前に確認すべき注意点|後悔しないためのチェックリスト

5-1. 節税効果は一時的なものと理解しておく

不動産投資による節税は、減価償却が計上できる期間に限られた一時的な効果です。この期間が終われば、節税のメリットは縮小し、やがてなくなります。

「節税になる」という説明だけを聞いて、それが何年も続く恒久的な効果だと思い込んでしまうと、期間が終わったときに想定外の税負担に驚くことになります。節税効果がいつまで続くのか、その後どうなるのかまで、セットで理解しておくことが必要です。

5-2. 収益性と節税効果のバランスで物件を選ぶ

物件を選ぶときの判断基準は、節税額の大きさではなく、家賃収入から経費と返済額を引いた実質的な手残りと将来売却するまでを含めた総合的な収支です。

表面的な利回りの数字だけで判断せず、空室が発生する可能性や、将来必要になる修繕費を織り込んだ実質的な利回りで比較する視点を持つと、物件同士の違いが見えやすくなります。節税を切り口に紹介された物件であっても、この基準で改めて評価し直すことをおすすめします。

5-3. 売却時の税金まで含めた出口戦略を考える

不動産を売却したときの利益には、譲渡所得税がかかります。所有期間が長期(売却する年の1月1日時点で5年を超える場合)であれば所得税15%と住民税5%、短期(5年以下の場合)であれば所得税30%と住民税9%が目安となり、これに復興特別所得税が加わります。判定の基準は「購入から何年経ったか」ではなく、「売却する年の1月1日時点でどれだけ所有していたか」である点に注意してください。

保有中に減価償却費を計上すると、建物の帳簿上の価値(取得費)は少しずつ下がっていきます。取得費が下がった状態で売却すると、その分だけ売却益が大きく計算されやすくなります。

つまり、保有中に軽くなった税負担の一部は、売却のタイミングで戻ってくるような構造になっています。節税効果を「消えてなくなるもの」ではなく、「先送りされているもの」として捉え、購入時点から売却の時期まで見通しておく必要があります。

5-4. 税理士・信頼できる不動産会社と連携する

不動産会社の営業担当者は、物件を販売することが仕事です。そのため、税務上の妥当性やリスクについて、中立的な立場からの評価を期待することは難しい面があります。

契約する前に、不動産会社とは別に、利害関係のない税理士に相談する時間を確保しましょう。医師の税務に詳しい税理士であれば、年収や家族構成、将来の開業計画といった個別の事情を踏まえたうえで、その投資が本当に見合っているかどうかを判断する手助けをしてくれます。

営業担当者の説明を聞いたその場で決めるのではなく、第三者の意見を挟む一手間が、後悔のない判断につながります。

6. まとめ|医師の不動産投資は「節税」だけで判断しない

医師の不動産投資には、損益通算や減価償却といった、法律に基づいた確かな仕組みがあります。しかし、その仕組みは永久に続くものではなく、いずれ効果が薄れる時期が訪れます。節税という言葉だけを判断基準にしてしまうと、収益性の低い物件を選んでしまったり、将来の開業資金に影響が出たりと、思わぬところで後悔につながりかねません。

大切なのは、節税効果と物件そのものの収益力を分けて考えること、そして売却まで含めた長い時間軸で収支を見ることです。契約書に署名する前に、今回取り上げたチェックポイントを一つずつ確認し、営業担当者とは別の立場にいる専門家にも意見を求めてみましょう。その一手間が、数千万円規模の判断を後悔のないものにしてくれます。

今回整理したチェックポイントを一つずつ確認し、自分の年収やライフプランに本当に合っているのかを、契約前に立ち止まって考えてみてください。

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この記事を書いた人

佐藤 おさむ (診療放射線技師 / メディカルライター)

臨床歴20年の現役診療放射線技師。地域基幹病院や健診センターなど、多様な医療現場での勤務経験を持つ。 現在も臨床の第一線に立ち続けながら、医療分野に特化したライターとしても活動。現場を知る医療従事者ならではの視点を活かし、クリニックや企業サイトのコンテンツ制作、医師・医療機器開発者へのインタビュー記事執筆など、幅広く手がけている。

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